佐伯大地「熱は必要、どんなさり気ない芝居でも」劇団た組。『まゆをひそめて、僕を笑って』への意気込み語る

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劇団た組。の第13回目公演『まゆをひそめて、僕を笑って』[2017年4月20日(木)〜23日(日)横浜赤レンガ倉庫 1号館 3Fホール]にて、モク役を務める佐伯大地と、作・演出を担当する加藤拓也が、作品への意気込みを語った。


『まゆをひそめて、僕を笑って』モク役を務める佐伯大地

昭和歌謡曲の名曲「ジュリアに傷心」をモチーフとする同公演は、恋人や結婚といった“約束を交わす前の好きの時間”をテーマに、時代によって変化し続ける男女の価値観のぶつかり合いを描いた“純粋恋愛作”。主人公のセイヤを藤原季節、ヒロインのジュリアを福田麻由子がそれぞれ演じ、作・演出を、舞台版『惡の華』『博士の愛した数式』『百瀬こっちを向いて。』等を手がけた加藤拓也が担当する。

現在、チケットが一般発売中となっているので、気になる人は公演HPのチェックをお忘れなく。

■『まゆをひそめて、僕を笑って』出演・佐伯大地×作演出・加藤拓也インタビュー

【意外って言う感情の後、やりたいなと】

——オファーをどう受け止めたのでしょうか?

佐伯:色々…びっくりだね。彼の第一印象は芯が強いな、自分を持ってるなっていうのがあって、なおかつ、実があった。言ってることや、やってることとかで。自信があるんだろうなって言うか、熱があるんだなって。オファーを受けたときは意外って言う感情が大きかったけど、その感情の後、やりたいなという気持ちがあったね。
加藤:ここ(出会い)のエピソードがね。いろいろあったから…
佐伯:割愛しましょう!
加藤:(笑)そのエピソードがあれですけど…割愛すると、2017年の初キスは大地君だったっていう(笑)
佐伯:覚えてないよ(笑)

——加藤さんは、佐伯さんに対する印象はどのようなものを持っていましたか?

加藤:裏も表もない感じで、そのまま…熱いな!って。気持ちよかったね、すごく。それで舞台を観に行って、モクにぴったりね。ってなりました。
佐伯:裏も表もないからね、僕。

モク役・佐伯大地

【美しくない部分も逃げずに描いているというか】

——佐伯さんは、今回台本を読んでみてどのように受け止められましたか?

佐伯:情報量が少ないなっていうのが一番の印象。だから、どれだけ軽快にできるか、全員が感じたままに動かないと伝わらないなって思って。やっぱり今の舞台って、こういう会話劇のようなものが減ってきてると思うんですよね。もしかしたらそれは若い役者の力が落ちてるからかもしれないけど…とにかく、どの舞台も長いセリフが多いし、ラストに行けば行くほど長いセリフが増えたりするよね。舞台って説明のようなセリフとかがあることが多いと思うんですけど、(この舞台は)それがないっていう。だって今回、3行以上のセリフ、基本ないんじゃない?
加藤:ほとんどないね、1行だね。
佐伯:なんだったら5文字で終わるセリフが多かったりするから。それが等身大っていうか…日常生活も結局そうじゃないですか。言い争いの時とかも。だからこそ、観てくださる方も共感できるんじゃないかなって思う。あとはなんだろ…その、美しくない部分も逃げずに描いているというか。人間って裏表があったり、そういう生き物で。良い顔してるけど、実は裏ではこうだった!とか、そういうことっていうのが生きていく中で必ずあって。皆の人生の中でそういうピースって結構あると思うんですけど。それが一番観てくださる方が共感できるポイントなのかなって思いますね。
加藤:結構舞台に出てくる(登場)人物って、ずるい人が多いんですけど…実は(佐伯が演じる)モクだけは裏表がない。
佐伯:確かにね。
加藤:欲望に素直というか、まっすぐなバカというか…。
佐伯:おバカだからね。ぴったりだったかもしれないね?まっすぐなおバカっていうのが。(笑)
加藤:裏表の無さがぴったりなのかなって思ってますね。人懐っこいのとかも。
佐伯:似てはなくないとは思う。人が好きっていうのとか…うん。
加藤:でもその中で、さらに大地くんが今までやってる演劇とは違う方向を向いてる演劇で、繊細に作りつつも、持ってるパワーというか躍動感というか、激しさみたいなのがもっと出ればいいかなって思ってます。
佐伯:そうだね、熱は必要だからね、どんなさり気ない芝居でも。
加藤:静かな中でも大きく感情が揺れて、行ったり来たりしているっていうのがありますよね。

モク役・佐伯大地と作・演出を担当する加藤拓也(1)

【意外だったかな。ティッシュで言うと・・・】

——加藤さんの演出を初めて受けてみて、佐伯さんはどう感じましたか?

佐伯:もの静かですね…凪。海の凪。だから、なんだろうね。良いも悪いもこっち次第っていうか、もちろんこっちから発信していかないとだめだし、そういう気持ちにさせるっていうか、状況にさせるっていうか、そういう状況を作るって言うか…。意外だったかな。もうちょい理屈っぽくガミガミいう方なのかなって思ってたから。すごくソフトだよね、肌触りがね、ティッシュで言うと鼻セレブみたいな。僕もそうだけど、今回は若いチームで、その中でも特に若手の子達が躍起になってやってるから、そういう力はあるんだろうなっていうか…。燃え上ってるもんね。季節が「自分悔しいっす」みたいなこと言ってたり。こんなに凪なのにね。
加藤:(笑)
佐伯:僕は初めて会ったタイプの演出家。
加藤:今までウォーって言う人が多かった?
佐伯:そうね。若手の舞台だから。加藤くんはすごく精神的な抑制がうまいんじゃない?
加藤:どうなんでしょう、それががんってわけじゃないけど…
佐伯:そういう性格なのかな?
加藤:そうなのかな〜性格なのかな?のんびりしてる。

——加藤さん自身はそういったことを意識しているのですか?

加藤:いや…。俳優さんが、萎縮っていうかやりにくい形にはしたくないっていうのは思う。やって、怒声じゃないけど…そういう怒るっていう作業は必要やねんけど、皆すごく気使える人、要は良い人の集まりだから、そういう面では別に何も言うことないし。お芝居ではやりやすいように、こっちが配慮するところは配慮するっては思うんですけど。できてるかわからんけど、そう思って稽古場に臨んでる。やってる方は気力も体力も使うから、休みも細かく入れてるつもりだけど。そういう意味では凪…?(笑)凪ってるかなって(笑)
佐伯:ぴったりだね、凪。「凪」って書いてあるTシャツプレゼントしようかな。
加藤:千秋楽で、もらおうかな。
二人:(爆笑)

モク役・佐伯大地と作・演出を担当する加藤拓也(2)

【お客さんも含めて、共犯者にできたらいいな】

——稽古をしてみて、自分自身に変化はありましたか?

佐伯:良い意味でも悪い意味でも、変化っていうのはなくて。演出の話をしてくれて、その時に見えてくるもの、あるじゃないですか。実は、僕の思ってることと違ったりして。細かなディテールが彼(加藤さん)の中であって、それがちょっとずつ稽古で、目的としているものがぼやっと見えてきたかなっていう。みんなと一緒のシーンが僕にとってはメインだから、そこで、いかに掴めるか?っていうことで…鍵なのかな?って。
加藤:そのシーンの大地くんはリリーフの役やから、超大事ですね。
佐伯:そうなんですよね。だから、加藤くんが思ってるものに届くように全力で頑張ります!
加藤:モクは、嘘をついてもそれが裏表になってない嘘というか。裏表のある嘘と、ない嘘の、ない方の嘘。
佐伯:バカな嘘ってことだよね?
加藤:そういうズルいけど愛せるみたいな愛らしさが必要な役だよね。
佐伯:そうだね、課題ですね。堂々とズルするっていうか。ズルの方を俺頑張らないとなのかな、俺はズルしないからさ。
加藤:そうだね。
佐伯:…それにしても、ジュリア。ひどいよね〜。俺絶対付き合いたくないもん。
加藤:(笑)でもやってるうちに、主演の季節くんもまゆこちゃんも、ジュリアに対する印象がコロコロ変わってる。最初はまゆこちゃん「ジュリア最悪!」って言ってたけど、稽古やってるうちに、「いや、ジュリア最悪じゃないんじゃない?
って。でまた、「最悪」になって。で今、「いや〜これはセイヤの方が悪くない?」っていうのに行きついたり。
佐伯:それは役者だからそういうのすごいわかる。男女のああいうことって、良いも悪いもないっていうか。そこがいいんだよ、この本は。世の中の男女ってそうじゃん!綺麗なラブストーリーとかラブロマンスとかもいいけど、そんなことないわけじゃん?この本は、リアリティーがあって、等身大というか…そのまんまの、味付けのない日常っていうか。
加藤:観てる人を共犯者にしたいっていうか。自分…結構、皆ズルを隠そうと思ってると思うんですよ。こういう恋愛しても、人に言えなかったりとか、そんな恋愛もあるだろうし…っていう中で、自分だけじゃないよっていうか。そういう意味でお客さんも含めて、共犯者にできたらいいなっていうのはありますね。
佐伯:お客さんを共犯者にしたい…すごいね。

モク役・佐伯大地と作・演出を担当する加藤拓也(3)

【選択が必要なのかなって】

——佐伯さんは、モクをどのように演じたいですか?

佐伯:モクの役割的にリリーフって言ってたけど…どういう影響を彼らに与えて、それが彼らにとってよく見えるのかっていうのを考えちゃう。でも、からっぽなんだよ…モクくんって…
加藤:(笑)
佐伯:想像ついちゃうんだよね。性格というか。
加藤:割と書いてることそのまんまやからね、モクの場合って。
佐伯:そうそうそう。割とこいつ(モク)を深めるよりも、周りにどうかけて、どう返ってくるか?っていうのを考えてしまう。なんとなく、モクだからどういう風に演じたいっていうのはあんまりなくて。とにかく…欲望に素直な年頃の男の子で〜女の子が大好きで…空気読めない。そういうことをどうやるか?っていう。
加藤:あとは演技の選択ですよね。どういう風なアウトプット方法を選択するのかっていうか…それが、きっと今までやってた演技と違うからそこでぶつかるだろうなって思ってて。
佐伯:うん。
加藤:主役の二人が、映像の中から舞台に味付けをちょっとずつしていくっていう形のお芝居だから。そこが基準になったお芝居になってきたってわけで…。それがこう、選択が必要なのかなって。あと、セリフで意外と好きなのが…モクの「タイミングだよね」だったりする。
佐伯:へ〜〜〜!
加藤:タイミングじゃない?俺、世の中の大半の男って、タイミングだよね?って言い訳する人が多いんじゃないか?って思うんだがね〜〜。
佐伯:確かにね!そうかもしんないね?

【皆のパワーと熱を感じて欲しい】

——舞台への意気込み・お客様へのメッセージをお願いします。

佐伯:とても等身大で、皆様の共感を得られる作品になってると思います。あとは若さ満点で、すごく明るいエネルギーが詰まってるし、皆のパワーと熱を感じて欲しいかなって。それで僕もそれに負けずに思い切ってやりたいなと。結構喧嘩ばっかりで、みんなズルをするっていうことが出てきたけど、そういう登場人物ばかりなんだけど、皆様に「ズルしてもなんか憎めないな」、「こいつはかわいいなって思われる立場で参加したいと思うので、是非皆さん、楽しみに、肩の力を抜いて、足をお運びください。
加藤:ズルを笑い飛ばそうみたいなところで書いてる・・・けど、大爆笑とかでなくて。心の中でニヤニヤしてもらったらいいかなっていうのをすごく思ってます。劇場で観て、「わかるわ〜とか「こういう人周りにおるわ〜とかっていうようなニヤニヤを、劇を通して体感して、その後、ちょっと賢いズルをお客さんが覚えて帰ってくれたらなって。日常生活でもっと賢いズルを覚えてもらえば、もっと僕たちは傷つかずに過ごせるんじゃないかなって思います。賢いズルを覚えに観に来てください。

モク役・佐伯大地と作・演出を担当する加藤拓也(4)

<佐伯大地(さえき・だいち)プロフィール>
東京都出身。1990年7月19日生まれ、26歳。
主な出演作:ミュージカル「刀剣乱舞」、舞台「瞑るおおかみ黒き鴨」、good morning N°5 party live show 9 「ケツラク」OFFICE SHIKA PRODUCE「親愛ならざる人へ」、舞台「ALL OUT!! THE STAGE」、映画「少女椿」、映画「アヤメくんののんびり肉食日誌」等

<加藤拓也(かとう・たくや)プロフィール>
1993年12月26日生まれ、23歳。
大阪府出身。17歳で作家としてスタートを切り、18歳で渡伊、ミュージックビデオや映像演出等を手掛け帰国。2013年に劇団た組。を旗揚げ。主な作品に舞台版『惡の華』『博士の愛した数式』『百瀬、こっちを向いて』等

■劇団た組。第13回目公演『まゆをひそめて、僕を笑って』

作・演出:加藤拓也
期間:2017年4月20日(木)〜23日(日)
会場:横浜赤レンガ倉庫 1号館 3Fホール

<出演>
藤原季節 福田麻由子
岡本あずさ 風藤康二(風藤松原) 佐伯大地 伊藤寧々 平嶋夏海 仲谷明香

<歌・演奏>
谷川正憲(UNCHAIN)

<公演タイムテーブル>
4/20 (木) 19時
4/21 (金) 14時/19時
4/22 (土) 14時/19時
4/23 (日) 12時30分/16時30分

<チケット> 全席指定席
前売券:6500円 当日券:6500円
チケットぴあ⇒http://w.pia.jp/t/mw/

<あらすじ>
恋愛経験はあるものの、心より人を好きになった経験の無いセイヤ(藤原季節)は美術学校で講師を勤めながら、年下のマー(岡本あずさ)と体の関係を持っていた。

マーは自身にとって初恋の人であるセイヤと、関係がハッキリとしたないまま、続けていても良いのか、唯一のマーの親友であるカズハ(仲谷明香)に相談を続けている。

セイヤの務める美術学校に通い、自身の経験から約束のある男女関係に嫌気が差していたジュリア(福田麻由子)。
講師と生徒の関係であるセイヤと、セイヤの先輩タケウチ(風藤康二・風藤松原)をきっかけに互いに興味を持ち始め、徐々に二人は心に恋を芽生え始めさせていく。

同じ美術学校に目的も無く通い日々を意味無く過ごしているモク(佐伯大地)と一人の時間が嫌いなコトノ(伊藤寧々)。
ジュリアと仲の良いハル(平嶋夏海)と四人でつるむこともしばしば。
しかし、そこにジュリアとセイヤの恋仲が絡まり始めた事で…

——リアルな若者が描く、リアルな若者ラブストーリー。
劇中の生歌と生演奏を担当するのは谷川正憲(UNCHAIN)。

公演HP⇒http://mayuhiso.xyz/

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