舞台『奇子』東京公演開幕 単独初主演のA.B.C-Z五関晃一「一緒にドキドキ、ザワザワ、ゾクゾクして」

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舞台『奇子』東京公演開幕 単独初主演のA.B.C-Z五関晃一「一緒にドキドキ、ザワザワ、ゾクゾクして」
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A.B.C-Zの五関晃一が単独初主演を務める舞台『奇子(あやこ)』が2019年7月19日(金)、東京・紀伊國屋ホールで東京公演の初日を迎えた。

すでに14日から茨城・水戸ACM劇場でプレビュー公演を行った本作は、“漫画の神様”手塚治虫生誕90周年記念事業として手塚の漫画「奇子」を原作にPARCOがプロデュース。上演台本・演出を中屋敷法仁が務めた作品である。
本作のゲネプロ(通し稽古)と囲み会見が東京初日の直前に行われた。この模様をお伝えする。

敗戦直後の青森県で500年の歴史を誇る大地主・天外(てんげ)一族。村では絶大な富と権力を持っていたが、終戦後の農地改正法によってその勢いは静かに衰えつつあった。大人たちの絡みあう欲望の果てに産まれた少女・奇子。一族の体裁を守るため、土蔵の地下に閉じ込められ表向きは死んだ事にされたまま育った奇子は、外界から遮断されたまま、純粋培養のようにすくすくと育っていく……。

ステージ上には手塚の作画にも似た妙にリアルで生々しい洞穴とステージの前方に向かって斜めになっている場がそこにあった。母体のようにも見えるその場所で奇子を中心に、天外の長男市郎、仁郎、伺郎、志子(なおこ)と天外一族の親せきである医者の山崎、そして下田波奈夫がうごめいていた。
皆、赤を基調とした衣裳を身にまとっており、その赤は彼らが逃れたくても逃れられない血のしがらみを思わせ、「奇子」というタイトルではあるが、描かれているのは奇子をこんな風に育ててしまった周囲の人間たちの業や愛欲、罪や歴史の闇なのかも……と思わせるものだった。

天外仁郎役の五関は眼帯を付け、一見怪しい風貌だが、露出している左目からは目的のためなら手段を選ばないと言いたげな鋭さとどこか哀しみを帯びた色気を感じさせる。また舞台上でふとした瞬間に見せるキレのいい動きは、自グループのコンサートや『滝沢歌舞伎ZERO』などで振付を担当する事も多い五関ならでは、と言ったところだった。

奇子役の駒井蓮は、手塚治虫が描く女性のイメージそのままに、長い手脚を軽やかに、時にはエロティックに動かしながら、汚れを知らない少女のような声で周りの大人たちの間を自由に飛び回る。土蔵の中に閉じ込められる不自由な身でありながら、どこか誰よりも自由を手にしているようでもあった。

この顔ぶれの中で唯一血縁ではない波奈夫役の味方良介の存在にも注目したい。つかこうへい作品などでエネルギッシュな役どころを見せる事が多い味方だが、ここではその熱さをぐっと抑えて、時にはストーリーテラーのように物語を進行させる役どころも担っていた。一方で波奈夫として存在する時は、額に汗しながらほとばしる想いにその身を任せていた。

ゲネプロ後に行われた囲み取材には、五関と天外一族の長男・市朗役の梶原善が中屋敷と共に出席した。

水戸でのプレビュー公演に触れ「そこからブラッシュアップしたものをお見せできると思う」と胸を張る五関。本作で単独初主演と聴いた時の事を振り返り「初めはすごく嬉しかったんですが、話をいろいろ聞いていくとどんどんいろんなものが乗っかってきて……手塚治虫生誕90周年とか(笑)。そして原作を読んでこんなストーリーだったのか、といろいろなプレッシャーを感じました。でも中屋敷さんやキャストの皆さんに助けていただきました」と笑顔を見せた。

五関晃一

五関は「作品の時代背景や登場人物が持っている欲に触れたとき、『ファンタジーだ』と感じたくらい(自分と)かけ離れていると思っていて、感情をリアルに突き詰めていくのに苦労し、中屋敷さんにいろいろ相談しました」と振り返る。仁郎は感情を表に出さない人物である事については「僕と唯一重なるところです。感情を出さないところと人に相談しないところは。そこ以外では僕はもっと優しい人間です」と笑いを誘っていた。

眼帯を着けての演技については「最初は方向感覚や遠近感がつかめず酔ってしまっていました。2回目くらいからは大丈夫だったんですが」と述べる五関。眼帯の素材についても「向こうが透けて見える素材のものも用意していただいたんですが、(両目が見える事で)ステージ上で嘘が出るんじゃないか、と偉そうな事を言って現在の見えない眼帯を用意してもらったんです」。そう言いながら五関は中屋敷を相手に“透けている眼帯バージョン”と“見えない眼帯バージョン”で相手を見る時の顔の角度の演技を再現すると、報道陣からも「なるほど……」と声が漏れ聞こえていた。

梶原は作品について「重いですね」と言葉少なに語る。その重さは、囲み会見の前のフォトセッションで「こんな感じの作品なので、明るく振舞うのが難しい」とカメラマンにぼやいていたほど。演出により原作と進行を入れ替えたりもしているため、「僕はゆとりがなかったんです。でも五関くんは余裕綽々で」と座長をヨイショ。隣で五関が照れ笑いを浮かべていた。

梶原善

本作の舞台化について、中屋敷は「『奇子』は物心ついた頃から読んでました。読みながら育ったようなものです」と筋金入りの『奇子』ファンを主張する。キャストについて聴かれると「五関くんは本当に文句を言わない。原作が熱くて、かつ僕のめちゃくちゃな演出で舞台を作り込むのは大変だろうに、その苦労を苦労と思わない」とリスペクト。一方、「逆に善さんは常に困った顔をしている」と笑いながら指摘。すると梶原は「舞台が斜めになっているでしょ? あれ、危ないからもっと角度を抑えなさいって稽古場ですぐ言ったんです。でも皆、余裕綽々ですぐ使いこなしていたので余計な事を言ったなあと」と頭をかいていた。
さらに中屋敷は「好きな俳優さんが僕の好きな演出で『奇子』の舞台をやってくれるなんて、夢かと思う」と嬉しそうに語りつつ「(水戸での)プレビューが終わってから、五関くんを早く東京公演で観たくて! また観る事ができる今日が本当に待ち遠しかった」とまもなく始まる東京初日に期待を寄せていた。

(左から)中屋敷法仁、五関晃一

なお、先日亡くなった事務所社長のジャニー喜多川について話を振られると、五関は「僕が一人で舞台で立っているのを見るのは初めてなので、喜んで欲しいなと思います。ただ、ダメ出しをされないように気をつけなきゃなと。“言いたいのに言えないじゃないか”とイライラされちゃうので、そこは頑張ります」と穏やかな笑顔を浮かべ、社長との過去のエピソードを話し出した。「『You、ちっちゃいよ!』ってよく言われるんです。ダメ出しを受ける時の8割、9割は“ちっちゃい”って(笑)。ジャニーズの舞台っていろいろな衣裳を着こむじゃないですか。すると僕は(胴体に厚みが出た分)余計ちっちゃく見えるので、『Youは重ね着しないで!』って言われるんです」と語った五関は、「今回は奇子役の蓮ちゃんもすごくスタイルがいいので(自分の靴に)インソールを入れさせていただきました」と暴露。するとそこまで話を聞いていた梶原が「多分そういう意味でのちっちゃいではなく“気持ち”の面の話ではないかな? 大きく羽ばたきなさいって言う意味だと思うんだけどなあ」と五関をフォロー。その言葉に五関が「そうだったのか!」と言わんばかりに微笑んでいた。

最後に五関が「主役が次々に変わるので、それぞれのキャラクターの欲や、目を疑うような行為がどんどん怒涛の勢いで押し寄せてきます。劇場にいらっしゃるときは一緒に穴倉に入ったつもりで、ドキドキ、ザワザワ、ゾクゾクしてください」とアピールしていた。

(左から)中屋敷法仁、五関晃一、梶原善

取材・文・撮影=こむらさき



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