宮崎駿の祝幕×菊之助の弁慶が盛り上げる 『團菊祭五月大歌舞伎』デザインお披露目会見レポート

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左から、歌舞伎俳優・尾上菊之助、スタジオジブリプロデューサー鈴木敏夫氏
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宮崎駿監督が、5月の歌舞伎座でつかわれる祝幕をデザインした。

4月11日に会見が行われ、スタジオジブリ代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫氏、歌舞伎俳優の尾上菊之助が登壇。デザインと原画が披露された。

歌舞伎といえば、黒×柿×萌葱の定式幕(じょうしきまく)が定番だが、襲名や初舞台など節目の公演では、御贔屓の方や後援会から贈られた「祝幕」を用いる。祝幕のデザインは、過去にも、草間彌生、佐藤可士和、福山雅治などの著名人が手がけているが、スタジオジブリによるデザインは今回が初めて。

『團菊祭五月大歌舞伎』(5月3日~27日)では、尾上菊之助の長男・和史が、七代目丑之助を名乗り初舞台にあがる。長谷川萬治商店より贈られたもので、創業者が六世菊五郎(当代は七代目)の御贔屓だったことから、今でも支援がつづいているのだそう。

司会者の「どうぞ」の声で、いよいよデザインがお披露目されると、「おお!」という歓声や「かわいい!」の声とともに、カメラのストロボが一斉にたかれた。

祝幕の躍動感にあやかって

12月には新橋演舞場で、『風の谷のナウシカ』の歌舞伎が上演される。それが縁となり、祝幕のデザインを引き受けることとなった。

鈴木氏は「(12月の)ナウシカについても、色々話したいことはあるのですが、今日はしゃべるなと言われております」と語り、一同を笑わせる。デザインの依頼を受けた時については「仕事には断っていい仕事と引き受けないといけない仕事がある。年の暮れにナウシカを一緒にやることを考えたら、これは断れない仕事だ。何がなんでも宮崎に描いてもらわないといけないと思った」と冗談めかして答えると、菊之助も報道陣も笑いに包まれた。

鈴木敏夫氏

自身も長男も「大のジブリファン」と笑顔で感謝を述べた菊之助。はじめてデザインを見た時の印象を次のように語る。

「とても元気な、躍動感あふれる作品だと感じました。宮崎監督が躍動感を込めて描いた絵でございます。倅の和史もその力にあやかり、元気で溌溂と初舞台をさせていただきたいと思います」

菊之助は『風の谷のナウシカ』と『カリオストロの城』が、和史は『千と千尋の神隠し』と『風立ちぬ』が好きなのだそう。

気持ちが温かいうちに

歌舞伎座で実際に披露されるときは、高さ7.1m×幅30.3mの祝幕となる。中央に描かれているのは、宮崎駿監督による五条大橋の牛若丸と弁慶。両サイドには、歌舞伎座舞台(歌舞伎座の大道具を担う会社)が描く、京都の都と鞍馬山。そして音羽屋の定紋である重ね扇に抱き柏(かさねおうぎにだきかしわ)がレイアウトされる予定だ。

歌舞伎座で使われるときのイメージ

『團菊祭五月大歌舞伎』で、丑之助が演じるのは『絵本牛若丸』の牛若丸。宮崎と鈴木は、牛若丸を描くと決めた。

「弁慶がいないと牛若丸だと分からない」「牛若丸と弁慶と言えば五条大橋」などの判断から、「『絵本牛若丸』に弁慶は登場しない」「五条大橋の時点では、弁慶は七つ道具を背負っていない」。けれども「象徴的なもの」として、今回のデザインに決めたという。

記者から、宮崎の制作中の様子を問われると、鈴木氏は「(宮崎駿監督は)気持ちが温かいうちにラフを2枚、3枚とその場で描いた」と明かす。その後、検討しプロデューサーとして鈴木氏が最終案を決めたのだそう。

菊之助の一大決心、初役で弁慶

「新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』をお許しいただき、ナウシカのご縁をいただくのも、かなり難しいことだったと思います」「祝幕はぜひとも宮崎駿監督に、という私の一念を鈴木さんにお伝えし、宮崎監督が描いてくださいました。本当に素敵な作品です」と菊之助。

『絵本牛若丸』は、菊之助自身が六代目丑之助を名のり初舞台で演じた作品でもある。

「1984年に上演した時は、私が牛若丸を、父(菊五郎)が鬼三太をつとめました。今回は、私が鬼三太役をと考え、3月の会見でもそのようにご案内申し上げました。……が、宮崎先生が牛若丸と弁慶を描いてくださいました。舞台に弁慶が出ないわけにはいかないだろうと、私一大決心いたしまして、鬼三太ではなく武蔵坊弁慶をさせていただくことになりました」

菊之助が弁慶役を演じるのは、これが初めて。役の変更に会見の場が盛り上がる中、菊之助は「訂正とお詫びを申し上げます」と続け、笑いを誘った。

和史そっくりの牛若丸

鈴木氏と菊之助が声をそろえたのは、牛若丸が和史に似ているということ。「偶然だとは思うのですが、和史君に会った時にびっくりしました。本当に似てるんですよね」と、パネルの牛若丸を指し示す。菊之助も、大きく頷き同意していた。

和史は原画をみて「大変喜んでいた」と菊之助は語る。そして「自分に似ているということもあってか、何度も“これ僕?”と聞くんです。鈴木さんのところへ伺った際も、何度も聞いていました。それから(鈴木さんに)“牛若丸かいてくれた人?”と聞くので、“違うよ、ジブリの鈴木さんだよ”と(笑)」といったやりとりがあったことを明かし、和史の無邪気な一面をうかがわせた。

原画はスタジオジブリにより軸装され、贈られた。『團菊祭五月大歌舞伎』の期間中は、歌舞伎座のロビーに飾られる予定。

『團菊祭五月大歌舞伎』、まもなく開幕

丑之助の初舞台に向け、稽古は「進んでおります。「立廻りあり、台詞あり、最後は幕外の六方も試みます。一つひとつ丁寧に稽古しているところ」と菊之助。

最後は「『團菊祭』というと音羽屋の家と市川團十郎家にとって大事な月。九代目市川團十郎さんと五代目菊五郎の功績を称える演目が並んでおります。私自身も、久しぶりに『道成寺』をさせて頂きます。新元号も、「令(うるわ)しい」と「和」。美しい心をもって芸術を創りあげるというのは、私たち芸術家にとって素晴らしい元号だと感じております」と締めくくった。

宮崎駿監督が祝幕を手がけ、和史が丑之助を名のり初舞台を踏み、菊之助が初役で弁慶を勤める『團菊祭五月大歌舞伎』は、2019年5月3日~27日の開催。



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