ついに日本でも春画展開催! 女子に人気な春画のヒミツがわかる本

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鶴田真由美

今年日本で初めて開催され、話題を呼んでいる『春画展』。海外で先に評価され、日本に凱旋した春画。特に女性に人気だという、その秘密とは?


『おとなの愉しみシリーズ2 英語と現代文でたのしむ春画 喜多川歌麿「願ひの糸ぐち」』早川聞多/アンドリュー・ガーストル(すばる舎)

日本で初開催の春画展

2015年9月19日から永青文庫で開催され、人気を博している『春画展』。残念ながら18歳未満は入館禁止のようだが、この展示会には開催前から高い期待が寄せられていた。というのも、昨年イギリスの大英博物館では日本より先にこの『春画展』が開催され、大成功をおさめていたからだ。大英博物館の展示には宇多田ヒカルさんも訪れ、当時日本でこの展示の開催予定がない事を残念がったというエピソードもある。

大英博物館の展示では入場者の約6割が女性だったというが、日本でもやはり女性の入場者は多いようだ。春画というある種タブーな作品が、なぜ海外で評価され、女性にも人気なのだろうか。

英語と現代文でたのしむ歌麿の春画

春画の基本が解った方には、さらに一歩踏み込んでこちらの本をおすすめしたい。『おとなの愉しみシリーズ2 英語と現代文でたのしむ春画 喜多川歌麿「願ひの糸ぐち」』は、美人画で知られる人気絵師・喜多川歌麿の春画シリーズ「願ひの糸ぐち」の解説と、絵の中の言葉を、現代文、そして英語に翻訳した一冊だ。

おとなの愉しみシリーズ2 英語と現...

喜多川歌麿「願ひの糸ぐち」(全12枚の春画組物)を美しく再現。解説と書入れは現代文と英語でつけました...

喜多川歌麿は世界的に知られる浮世絵師だが、錦絵12枚一組の春画を3点制作している。「願ひの糸ぐち」はそのうちの1点で、書入れ(春画の中の説明やセリフ)が多いのが特徴だ。男性も女性も率直に欲求を口にし、時には卑猥な言葉のやり取りを楽しむ。これらの書入れからは江戸庶民の性に対するおおらかさが垣間見えるようだ。本書ではその書入れを現代文のほか、英語でも紹介している。平易な英語で訳されているので、それらの英語訳を読んでみるのも面白いだろう。

春画から江戸のエロティシズムを解き明かす

さらに春画がなぜ芸術として評価されているのかを知りたい方は「春画のからくり」を読んでみてほしい。本書は江戸文化研究者の田中優子が春画の奥深さをまじめに解説している一冊で、春画の構図や背景にこめられた意図をあきらかにし、江戸時代のエロティシズムの本質を解き明かしている。

春画のからくり

春画では、女性の裸体だけが描かれることはなく、男女の絡みが描かれる。男性のための女性ヌードではなく、...

なぜ春画がポルノとは一線を画し、海外の批評家や女性にも受け入れられているのか。そのヒミツは春画の根底にある「隠す・見せる」「覗き」等の視点にあるという。春画は男性向けの性的な絵画というよりも、みんなで見て笑うための「笑い絵」であり、一枚の絵の中に物語の背景を伺わせる様々な要素がこめられた贅沢な絵画でもあるのだ。しかし、なぜその春画が日本では芸術性が劣ったものとして長年扱われてきたのか。本書はそんな春画の歴史にも言及している。春画の世界をより深く味わいたい方にはぜひ読んでいただきたい一冊だ。

絵師たちがいきいきと活躍する小説もおすすめ

春画について深く知った方が次に気になるのは、その豪華な絵師たちの存在ではないだろうか。美人画や風刺画などの浮世絵師として一線で活躍していた一流絵師たちまでもが、なぜ春画を書いていたのか。彼らはいったい、どのような人物だったのだろうか。残念ながら、今や絵師たちの人となりを詳しく知るすべはないが、この絵師たちがいきいきと活躍する時代小説を読めば、その次代の空気や絵師たちの気持ちが少しはわかるかもしれない。

絵師たちが活躍する時代小説といえば、まずは河治和香の「国芳一門浮世絵草紙1 侠風むすめ」だ。鉄火肌の浮世絵師・歌川国芳と、のんきな弟子たちの日常を娘の女絵師・登鯉の目から描いており、シリーズ一作目は天保の改革を風刺した国芳と名奉行と名高い北町奉行の対決が見どころだ。

国芳一門浮世絵草紙1 侠風むすめ

浮世絵師歌川国芳と娘登鯉をめぐる人間模様 『笹色の紅』で評論家の絶賛を浴びた新鋭作家の、ほのぼのお...

試し読み

高橋克彦の「だましゑ歌麿」は、人気絵師・喜多川歌麿の愛妻が殺されるという事件からはじまるミステリー。南町奉行所の腕利き同心・仙波を中心に、若き日の北斎や平賀源内なども活躍するシリーズで、豊かな才能を持つ北斎が苦しみながら自分の作風を確立していく様子が興味深い。江戸庶民の暮らしがいきいきと浮かびあがる人気の一冊だ。

だましゑ歌麿

江戸の町を高波が襲った夜、当代の人気絵師・喜多川歌麿の恋女房が惨殺された。歌麿の幕府風刺を憎む上から...

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