最終巻配信開始! 年末年始に一気読みしたい名作「風と共に去りぬ」

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吉野 治

1860年代のアメリカ南部ジョージア州を舞台に、美しく誇り高きヒロイン、スカーレットを主人公にした大長編小説「風と共に去りぬ」。小説発表からさほど時をおかずして映画化もされ、米アカデミー賞9部門を受賞した普及の名作は、ご存じの方も多いのではないでしょうか。でも原作小説はまだ読んでいない、というあなた! 現在読んでも全く色あせることないスカーレットの魅力を、今回は少しご紹介しましょう。


「風と共に去りぬ 第1巻 無料試し読みブックレット」マーガレット・ミッチェル/鴻巣友季子/訳(新潮社)

■あらすじと登場人物たち

アメリカ南部ジョージア州<タラ>で大農園を営むオハラ家の長女、スカーレット。父親譲りの激しい気性ですが、若く美しい彼女に言い寄る男性は数知れず。そんなスカーレットが密かに思いを寄せているのは、同じく上流階級のアシュリ。だが彼は心優しいメラニーと婚約してしまいます。

自暴自棄になったスカーレットはメラニーの兄と結婚するものの、間もなく南北戦争が勃発。夫はあっけなく戦病死し、スカーレットはシングルマザーとなります。そんな中、彼女に以前から興味を持っていたひとりの男性と再会します。アシュリの婚約発表の場で初めて会った社交界の嫌われ者、レット・バトラーです。物語は、主人公スカーレットの怒涛の半生と、彼女の激しい恋のゆくえを描いていきます。

主人公のスカーレットの気性の激しさは、現代のニッポンなら「あ、これって女友だち少ない」ってタイプ。とにかく強引。高慢。空気読まない。それでも彼女が魅力的なのは、自分の気持ちにどこまでも正直で純粋で、いざとなれば自分の力で解決しようと行動するし、恋敵であるはずのメラニーも助ける。決して人でなしではないのです。

他の主要人物たちも同様で、アシュリにしろレットにしろ、人間としてはちょいちょい欠陥があるなあ、って思います。アシュリに至っては、メラニーという妻がありながら、スカーレットにキスするし! そりゃ戦争中という異常事態ではあるけれど、それってどうよ? スカーレットが本気だって分かってんでしょ? と説教垂れたい。レットにしたって、ビジネスのためなら結構アブナイ橋を渡る。

唯一、誰からも愛される心底善良な人物がメラニーですが、彼女だって平面的なキャラクターじゃありません。「え、普段あんなにおとなしいのに?!」っていう強い面も見せる。どの人物も多面性があり、そこが非常に魅力的なのです。

■<恋愛病あるある>が満載  

第1巻のスカーレットはまだ16歳。南北戦争が勃発しそうだという不穏な時なのに、彼女は愛しきアシュリの婚約の噂で頭がいっぱい。いやいや、戦争とかの方が切実なんじゃ? と言うようでは、おぬし、まだまだ恋愛初心者だな!

アシュリとメラニーが小説談義しているのを耳ざとく聞きつけたスカーレット。「あなたってホントにすごい! よくそんなこと思いつくわね?」ってメラニーがアシュリを持ち上げてたら警戒心バリバリだった…というくだりも登場します。裏を返せば、“狙った男を落とすテクは、褒めちぎる”ってこと。なーんだ、今とちっとも変わってないじゃん!

恋愛脳にやられ、頭ん中がお花畑な上に超ポジティブなスカーレットは、「アシュリが私に求婚しないのは、私がアシュリを大好き! ってハッキリ伝えなかったからね!」と思い込みます。ついにはアシュリに向かって自らコクる! さすがです、スカーレット姐さん。ここまで前向きだと、バカ…いえ、すがすがしいですっ!

そのほかにも、プロポーション維持のためには食事を我慢したりとか、やきもちを焼かせるために他の男たちとわざとイチャイチャしたりとか、これって一体いつ書かれた小説なんですか? という、あるある描写満載。ものすごーく、親近感湧きます。

■新訳は人気翻訳家の鴻巣友希子

恋愛小説として楽しめる一方で、南北戦争という非常にハードな事件も起きるこの小説。しかもスカーレットは負ける側の南部出身です。登場人物が結構な人数死に、過酷な状況がスカーレットを襲います。そんな中でも彼女があきらめることなく、いかにして前に進んでいくか。気がつけば、彼女の魅力にどっぷり浸かっていることでしょう。

そして今回の新訳は、「嵐が丘」の新訳でも大きな評判となった鴻巣友希子によるもの。とにかく読みやすいです。文章の勢いはスカーレットばりに激しく強く、あっという間に100ページ、200ページと読んでしまうので、徹夜してしまうかも。

原作に関しては、現在から見ると奴隷描写が差別的な表現ではないか、という批判もありますが、書かれた当時の空気をそのままに伝えるという判断から、原作通りとのこと。

年末年始のまとまった休み。本当に面白い長編小説を読みたいのなら、「風と共に去りぬ」、おススメです!

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