広末涼子×内田有紀が豪華初共演ドラマの原作、奥田英朗「ナオミとカナコ」

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長谷部香苗

『いっそ、ふたりで殺そうか、あんたの旦那』。アラサー女子ふたりが、まるで海外旅行を計画するかのように、DV夫の殺害を企てる。いくら親友同士でも、そんな会話になる? 完全犯罪って成立する? とそんなことを気にとめる間もなく走り出す展開に、きっとイッキ読みしてしまうことでしょう。


「ナオミとカナコ」奥田 英朗(幻冬舎)

奥田英朗:1959年、岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て作家の道へ。2002年「邪魔」で大藪春彦賞、2004年「空中ブランコ」で直木賞、2007年「家日和」で柴田錬三郎賞、2009年「オリンピックの身代金」で吉川英治文学賞を受賞。

ナオミとカナコ

二人は運命を共にし、男を一人殺すことにした。 「わたしたちは親友で、共犯者」 復讐か、サバイバルか、...

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■ごくごく普通にいるアラサー女子

直美は一流百貨店の外商部に勤める独身OL、加奈子は銀行員の夫との結婚を機に家庭に入った専業主婦。ふたりは大学時代からの親友で、いまはそれぞれの生活を送っていますが、ときどき連絡を取り合って時にはランチをしたりと、どこにでもいるフツーの友達同士。そんなふたりが、加奈子の夫を殺害する計画を立てるのです…。

■ナオミの章

直美の仕事は、富裕層の顧客と信頼関係を築いて、高額商品を買ってもらうというもの。あることから、中国人の女社長・朱美と懇意になり、池袋のチャイナタウンに出入りするようになります。この導入部、ちょっとオモシロイ。お金持ちの金銭感覚や、中国人独特の考え方に「へ〜なるほどね〜」と思わせる描写は、不思議と説得力あり。(奥田作品はこれがなきゃね!)

直美は偶然に、加奈子が夫からDVを受けていることを知り、離婚を勧めますが、加奈子は大丈夫だからと受け入れない。と、このあたりでふたりの友情に亀裂が入らないかと心配したのもつかの間、ふたりは完全犯罪に向かって動き出します。落ち着いて考えればスキだらけの計画なのに、杜撰な計画ものちにそれが新たな展開を招く伏線になってくるので、ダブルの、いやトリプルのオモシロさになっていくのです。

■カナコの章

加奈子は警察にウソの夫の捜索届けを出すだけでなく、夫の同僚や家族の対応も一手にこなさなければいけません。ここでも、人は思ってもいなかった反応をする、というリアルを感じさせてくれます。練りに練った計画なんて、だれかのちょっとしたひと言で、もろくも崩れてしまう。その状況から加奈子がどう切り回していくのか、スリルを通り越してそれはほとんど恐怖。

ラストへ向かってストーリーをグングン引っ張っていくのが加奈子! 夫からのDVに声もなく耐えていた加奈子が、人として強く成長し、義妹の陽子という、あの手この手で加奈子を追いつめる強烈なキャラが出てきても、けっして諦めない。状況が厳しくなればなるほど深まる直美と加奈子の友情が生き生きと描かれ、この章の後半からは、ページを捲る手が止まらない!

一瞬何かが頭をよぎるかも…テルマ&ルイーズ?? でもすぐに直美と加奈子の強烈な引力に引き戻され、ラストまでその手が止まることはでしょう。最後はふたりに置いていかれないように、読者も走るように読んでいることでしょう! DV夫を殺すことを<排除>と言い、殺害計画を<クリアランス・プラン>と言う直美と加奈子。稚拙な行動もきちんと回収され、廃棄率ゼロ。イッキ読みで寝不足しても得した気分です(笑)。

「精神科医・伊良部一郎シリーズ」のようなコメディ小説から、「最悪」「邪魔」のような犯罪小説まで、奥田作品のジャンルは広く、共通しているのは人間の心理や日常の細かな描写。この機会にぜひ他の作品も!

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■1月からドラマがスタート

映像化されるなら映画かと思っていたら、早くも1月からフジテレビの木曜10時枠でドラマがスタート。

キャスト
小田直美:広末涼子、服部加奈子:内田有紀、服部陽子:吉田羊、李朱美:高畑淳子

ピュア感溢れる広末涼子と内田有紀に対して、吉田羊と高畑淳子が個性の強い役で配役されたとなれば、これは見るしかありません! 佐藤隆太がDV夫の服部達郎と中国人の2役を演じるというのも期待大です。

番組の詳細については、公式サイト(http://blog.fujitv.co.jp/naomi-kanako/index.html)まで

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