【祝!紅白出場】星野源のもう一つの顔、はじめてのエッセイ集「そして生活はつづく」

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吉野 治

星野源とはいったい何者? 現在オンエア中の「コウノドリ」の演技も注目され、不定期放送のコント番組「LIFE!~人生に捧げるコント~」ではコメディセンスを発揮、12月2日にはアルバム「YELLOW DANCER」もリリース予定。一言ではとても言い尽くせないマルチな活躍をする彼のもう一つの顔は、文筆家。そんな星野源がはじめて手がけたエッセイ集が、今回ご紹介する「そして生活はつづく」です。


「そして生活はつづく」星野源(文藝春秋)

生きていれば、何か、ある

このエッセイに書かれていることは、ごく一般的な日常生活のいろいろ。何せ、最初のエッセイが<料金支払いはつづく>ですよ。携帯電話の料金支払いをしなければならないけれど、この時間に空いてるといったらコンビニくらい…って、もうしょーもないほどフツーな話。

しかし、そこから先がフツーじゃない。「コンビニ行ってきたばっかだし、明日払おう」と心に決めてから、さて、この小さな日常のひとコマがどう着地するかというと、なんだか全然着地しない。ちょっとしたトラブルが起きたかと思うと、話は横道に逸れ、さらに俺のこだわり、みたいな話になって…で、料金支払いは?

外見にダマされてはいけない、星野源の頭の中

本文にも書かれてますが、<つまらない毎日の生活をおもしろがること>が、このエッセイのテーマ。マルチな活躍をしている星野源なのだから、いくらでも非日常なユニークな話ができるはずなのに、登場するのはこうしたちっちゃな話ばかり。

それが抜群におもしろいのは、星野源の独特のものの見方にあります。プチ残念なできごとについて、あーだこーだといろんな角度から攻めたて、ぼやいてる。

歌声の柔らかさ、澄んだメロディライン、草食系なルックスから、はじめは星野源に「さわやかでピュア」なイメージを持つ人も多いでしょう。うん、私もそうだった! でも彼の歌詞なり文なりをよくよく読んでみれば結構黒い。ドロドロしてる。ときどき下ネタ。

じゃなかったら、どうして新しい箸を買いに行く話の中で、陰毛ネタが出てくるんですかっ! ちょっと意味わかんない。うん、私もそうだった! でも最後まで読めば、なるほど箸も陰毛も地続きの話だった、と一応納得。

大御所ミュージシャン細野晴臣との対談で何を話すかと思えば、「どういうわけか洗面台がびしゃびしゃになるんです」。他に話すことあるだろうが! せめて音楽ネタにしておけ! 心の中で突っ込みを入れて読みつつも、「それでこの話、どこに向かってくの?」という面白さがある。この不思議感に、いつの間にやらハマってしまうのです。

毒ばかりではない。優しさあふれるエピソードも

どこかポイントがずれている。でもそこがいい! という星野源のエッセイ集ですが、時に思いもかけぬピュアできらきらしたエピソードも登場します。

その代表格が、<おじいちゃんはつづく>。自分が子どものころのあだ名が“おじいちゃん”だったという軽めのジャブで笑いを取るところから始まるこのエピソードでは、今は亡きおじいちゃんの思い出話が多く綴られています。

どんな人でも、死なないかぎり、生活はつづくのだ

イイ話を声高に訴えるのでもない。笑わせようと無理なシチュエーションを作り上げるのでもない。ありふれた日常の中で、日々を楽しもうとして生活をつづけ、感じたことを書く。そんなエッセイ集の「そして生活はつづく」。

「若い時は高良健吾みたいな顔してた」とキッパリ言い切るきたろうとの文庫版特別対談「く…そして生活はつづく」も収録。おススメです。

そして生活はつづく

俳優で音楽家、星野源はじめてのエッセイ集! 携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、人付き...

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